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乗り物のシェアで脱炭素貢献

みなさんが日常的に使っている乗り物として、最も代表的とも言えるのが「車」です。スーパーまでの道のり、駅までの送迎、ちょっとした旅行など、さまざまなシーンで活躍します。しかし、地球温暖化が問題視される今、車などの乗り物が排出する排気ガスは大気汚染をもたらし、地球に大きな影響を及ぼしています。この記事では、乗り物のシェアによる脱炭素貢献の可能性について、解説していきます!

乗り物は所有からシェアする時代!

シェアするメリット・利便性

1.環境にやさしい
乗り物をシェアすることで、個人の所有する車や自転車などの乗り物の絶対量が減り、排出される二酸化炭素や大気汚染物質の量が減るため、環境にやさしいと言えます。

2.コストの削減
車は本体の価格の他に、維持費、駐車場代、保険料が必要なため、コストがかかります。一方、乗り物をシェアすることで、本体価格がかからない上、利用費用を複数の人が分担することができ、コストを削減することができます

3.利便性
アプリを通じて車の予約、開錠、利用などができるサービスでは、いつでも必要な時に利用することができます。また、自転車や電動スクーターのシェアの場合は、交通渋滞に巻き込まれることなく、目的地にスムーズに到着することができます。

4.フレキシビリティ
乗り物をシェアすることで、必要に応じて異なる種類の乗り物を利用することができます。たとえば、自転車で通勤する日もあれば、カーシェアで旅行に行く日もあったり、また、気分に合わせて車種を変えてみてもいいかもしれません。

5.スペースの節約
乗り物を所有すると駐車スペースが必要になりますが、シェアではその必要がありません。また、シェアが進めば、駐車場や渋滞の混雑緩和にもつながるかもしれません。

シェアリングエコノミーの市場規模

シェアリングエコノミーという言葉をご存じでしょうか?消費者がモノや場所、スキルなどを必要な人に提供・共有する経済の動きや、そうした形態のサービスのことを指します。日本のシェアリングエコノミーの市場規模は今後急速に拡大する見込みです。2022年の市場規模は2兆6,158億円と過去最高を記録し、新型コロナウイルスによる不安、認知度が低い点等の課題が解決した場合(課題解決シナリオ)では、2032年で15兆1,165億円に拡大が予測されています。

【グラフ1】
出典:シェアリングエコノミー協会の『シェアリングエコノミー市場調査2022年版』https://sharing-economy.jp/ja/20230124

乗り物、移動のシェアは大きく3タイプ

乗り物のシェアには大きく3つのタイプに分類することができます。

1.カーシェアリング

カーシェアリングサービスは、事業者・個人が所有する車両を利用者(ドライバー)に貸し出すサービスのことで、会員制のサービスや、一般の人が所有する車を共有するP2P型のサービスなどがあります。

2.ライドシェアリング(相乗り)

車を所有する人が、自分の車を使って他の人を乗せることで、共同で移動するサービスのことを指します。ドライバーと利用者を結びつける点でカーシェアリングと異なっています。日本でも、一時期注目された、スタートアップ等の新ビジネス、「相乗り」ビジネスですが、業界の抵抗や法規制などの壁もあり、市場が発達していません。一方、世界ではウーバーテクノロジーズ(Uber)をはじめとする様々なサービスが普及しつつあります。

3.シェアサイクル

シェアサイクルとは自転車のシェアサービスのことで、自転車を設置した場所から借り、利用後は指定された場所に返却する形式が一般的です。日本でもスタートアップが都市部を中心に進み、また自治体でも少しずつ注目されつつあります。

国内外の動向

日本の動向・事例

では、日本ではどのような取り組みがなされているのでしょうか?代表的なものから今後注目のものまで、3社をご紹介します。

1.タイムズモビリティ株式会社

駐車場を展開する大手企業である株式会社タイムズ24と、トヨタ自動車株式会社が共同で設立した合弁会社が展開するカーシェアリングサービス『タイムズカー』は、数あるカーシェアサービスの中でもかなり有名なのではないでしょうか。24時間365日利用可能なカーシェアリングサービスで、会員登録することで車両の予約や利用が可能です。ステーションの数が圧倒的に多いため、どこに住んでいても借りやすいのが特徴です。

2.株式会社 DeNA SOMPO Mobility

DeNAとSOMPOホールディングスによって設立された、モビリティ領域における合弁会社で、『Anyca(エニカ)』という個人間カーシェアサービスを提供しています。新型車や高級車含む1100車種以上のクルマから選ぶことができるため、移動がもっと楽しくなります。また、カード決済、アプリ内チャット、レビュー記入で、個人間でも安心安全にカーシェアを行うことができます。

3.OpenStreet株式会社

OpenStreet株式会社が展開するのは、ソフトバンクの社内起業制度で生まれたシェアサイクル事業『HELLO CYCLING』です。23区を中心に区外にも多くのポートが設置されており、ポート数、自転車の台数ともに日本の代表的なシェアサイクルサービスの中でもトップクラスを誇っています。アプリでポートの地図とポートにある自転車の台数、バッテリー残量の確認ができます。

海外の先進事例

次に、海外での先進事例をご紹介します。日本との大きな違いとしてライドシェアリングの存在が挙げられます。ここでは世界で拡大を続ける代表的な事例を2つ紹介します。

1.Uber Technologies

Uberといえばほとんどの人が食事などの配送サービスを思い浮かべるのではないでしょうか?しかし米国をはじめとする諸外国ではライドシェアリングサービスとしての利用が一般的です。ライドシェア市場の中でもUberは過半数を占め、今も急速に拡大を続けています。スマートフォンアプリを使って、簡単にドライバーと乗客がマッチングでき、移動の手段として広く利用されています。

2.Lime

Limeは電動スクーターのシェアサービスで、米国やヨーロッパを中心に拡大し、観光客を中心に人気を集めています。スマホで簡単に登録・利用ができ、エリア内であればどこでも返却することができます。しかし、一部の地域では交通安全の面から規制や禁止の動きも出てきています。

シェアがなぜ脱炭素貢献になるのか?

省エネルギー、環境保護に直結で期待される

現在、運輸部門のCO2排出量の約8割が自動車に起因しています。また、人一人を1km運ぶのに排出されるCO2は自家用乗用車が最も多いことで知られています。カーシェア、ライドシェアはマイカー利用の減少、利用人数に対する車両の効率化に繋がり、CO2排出を大きく抑えられると予測できます。シェアサイクルはそもそもCO2を排出しないため、最も環境にいいと言えます。乗り物のシェアが省エネ、環境保護に直結するのです。

具体的なCO2削減効果の公表事例

ここで、公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団の調査したカーシェアリングによるCO2削減効果を見てみましょう。(表1)カーシェア加入前後における世帯あたりのCO2排出量の変化を示しています。燃料の年消費量は約半分に減少し、もちろんその分CO2排出量も大幅に減少しています。マイカーからカーシェアに切り替えることでこれほどの効果があるのです。カーシェアが拡大すれば大きなCO2削減効果が見込めるということがわかります。

【表1】
出典:公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団「カーシェアリングによる環境負荷低減効果の検証 報告書」https://www.ecomo.or.jp/environment/carshare/data/carshare_report2013.pdf

賢くシェアして脱炭素

旅行にカーシェア

まずは旅行でカーシェアを使ってみるのはいかがでしょうか?いつもと違う車で旅に出ることで新鮮な気分が味わえます。旅行先までは電車や飛行機で。旅行先では自由度の高いカーシェアで。こんな使い方もありかもしれません。

会社として導入

会社としてカーシェアを導入すれば大きな脱炭素効果が見込めます。また、電気自動車やハイブリッド車などの環境に配慮した車を導入すれば、さらにCO2削減に貢献でき、会社としても大きなアピールポイントになるのではないでしょうか。

ラストワンマイルをシェアサイクルで

自転車は思ったよりも簡単に遠くまで行けるものです。目的地まで車や電車で移動して、旅先ではシェアサイクルを活用してみてはいかがでしょうか?シェアサイクルは電動の自転車を導入していることが多いので、疲れることなく移動できます。むしろ、風や自然を感じられてとても気持ちがいいです。

まとめ

いかがでしたか?こちらの記事では乗り物のシェアの種類やメリット、脱炭素貢献の可能性などについて詳しく解説しました。ぜひ普段の通勤や旅行などに取り入れてみてください。

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