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SBTiが炭素クレジット利用を拡大~企業の新たなチャンス~

近年、企業の環境への意識は高まる一方であり、二酸化炭素排出量の削減に向けてあらゆる努力がなされています。各社が排出量削減に取り組むなか、自社で削減しきれない部分については、炭素クレジットという手法が取られています。ところが、その手法の活用は大きく制限され、削減需要に対して炭素クレジットの供給が追いついていない状況にあります
そんな中、今回SBTiが発表したところによると、企業が炭素クレジットを活用できる幅が広がり、脱炭素ビジネスを加速する大きなチャンスになりそうです。それでは、最新の炭素クレジット活用の動向を追っていきましょう。

炭素クレジットとは何か?

炭素クレジットの定義と概要

炭素クレジットという言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。
炭素クレジットとは、森林保護や省エネ活動で削減した温室効果ガスの排出量を、「クレジット」として売買できるようにしたものです。企業はこのクレジットを購入することで、自社の排出量と相殺することができます。また炭素クレジットを創出する事業主は、炭素クレジットを売却することで、収益を得ることができます。

引用:環境省「カーボン・オフセット ガイドライン Ver.3.0」

炭素クレジット市場の成長と今後の見通し

地球温暖化対策への機運が高まる中、炭素クレジット市場は驚異的な成長を遂げています。
2024年現在、炭素クレジット取引市場は約2800億円ですが、2030年までに約7000億円にも達すると見込まれています。従って炭素クレジットを上手に活用できるかどうかは、脱炭素を迫られている企業にとって今後ますます重要になってくると考えられます。
では次の章では、今回のSBTiのアップデートにより、炭素クレジットの利用をどう加速するのか、詳しく見ていきましょう。

 炭素クレジットの新たな可能性~SBTiの最新方針を読み解く~

SBTiとは

SBTiとは、「Science Based Targets initiative」の略称であり、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑えられるよう、科学的根拠に基づいて企業の温室効果ガス排出量削減目標の策定を支援している、国際的なイニシアチブです。
企業はまず、過去の排出量に基づいて排出量のベースラインを算定します。続いて、パリ協定の1.5℃目標や2℃目標を達成できるレベルの排出量削減シナリオを、科学的根拠に基づいて策定します。SBTiの独立審査機関は、この企業の目標を厳密に審査し、SBT(Science Based Targets)として承認されることで、企業は科学的根拠に基づいて、妥当で透明性の高い目標に向かって努力できるようになります。
現在では、SBTはパリ協定に準拠したグローバルスタンダードとなっているため、SBTiの動向は、企業の削減目標の策定にも大きな影響力を持っていると言えます。

SBTiの従来のスタンスとアップデート

冒頭では、これまで企業が炭素クレジットを活用するには制限が大きかったと述べました。SBTiの従来の方針では、炭素クレジットを利用して一時的に相殺した排出量は、科学的根拠に基づいた「削減量」としては認められず、SBT達成のための削減量には計上できませんでした。これは、炭素クレジットを利用して他社の削減量を自社に移転するだけでは、必ずしも地球全体での排出量を削減できるとは限らないというSBTiの考え方に基づいていました。また、科学的根拠に乏しい低品質の炭素クレジットや、削減量が二重に計上される恐れがあることも、炭素クレジットの活用を妨げてきました。
しかし、今回のSBTiの最新のアップデートでは、Scope3の排出量に限定はされますが、炭素クレジットの利用による削減量を、SBTの削減量として算入することが認められる予定です。この背景には、企業の炭素クレジットへの高まる需要に応え、排出量の削減を加速させようという意図や、ブロックチェーン技術やリモートセンシング技術の発展により、炭素クレジットの透明性を担保できることが追い風になっていると推測できます。

Scope3利用が与えるインパクト

SBTiがScope3における炭素クレジットの活用を認めることは、どのようなインパクトを与えるのでしょうか。
その前に、Scope3について簡潔に説明します。企業の温室効果ガス排出量は、その排出ルートによって、Scope1,2,3に分類されます。Scope1は、企業が自社の工場等で直接排出する排出量、Scope2は、企業が購入した電力等から間接的に排出される排出量、Scope3は、自社のバリューチェーン全体で排出される、Scope1,2以外の排出量(下図参照)を指し、例えば原料の調達による排出量や顧客が製品を使用する際の排出量など、非常に幅広い範囲の排出量含みます。

引用:資源エネルギー庁 『知っておきたいサステナビリティの基礎用語~サプライチェーンの排出量のものさし「スコープ1・2・3」とは』

驚くことに、Scope3の排出量は全体の排出量の9割を超える(下図参照)とも言われているうえ、
自社の範囲を超えたバリューチェーン全体の幅広い排出量を網羅する必要があるため、排出量を管理・削減することが困難だと言われています。従って、炭素クレジットを活用してScope3の排出量を削減できるようになることは、炭素クレジットの活用を大きく加速するとともに、企業の脱炭素の大いに後押しすることになるでしょう。

引用:メンバーズ脱炭素DX研究所 『メンバーズ脱炭素DX研究所「日経225銘柄企業 スコープ1・2・3独自調査」を発表』

 炭素クレジットの利用拡大への期待

 新たな炭素クレジットの創出への期待と課題

SBTiの今回のアップデートにより、企業の炭素クレジットに対する需要は一層加速することになりそうです。
正式な決定は2024年7月以降に行われるようですので、最新の情報に注目しておいたほうがよいでしょう。 炭素クレジットの供給に関する制限は緩和されていくでしょうが、その一方で炭素クレジットの創出には、煩雑な手続きや審査をはじめとして、相当な時間と労力がかかることが、スピード感を持って炭素クレジットを創出・供給することを困難にしてきました。

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弊社では、ボランタリークレジット創出・取引プラットフォームとして「EARTHSTORY」を運営しており、クレジットの創出や取引に関わる従来の煩雑な手続きや審査を、可能な限り短時間でスムーズに行えるよう支援しています。また、その他、企業の脱炭素に関わる幅広い支援を提供しています。
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まとめ

弊社は今後も、脱炭素のためにできることを、より一層全力で取り組んでいきます。持続可能な未来の社会のために、ぜひ一緒に歩みを進めましょう。

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