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気候変動の現状とその対策とは|Linkhola

近年耳にすることの増えた気候変動という言葉は、主に天候や気象パターンの変化を指す言葉です。地球温暖化など、将来的に私たちの生活に甚大な悪影響を与える恐れがあるものもあるため、気候変動への対策が地球に住む私たちの急務となっています。そこで気候変動の現状とその原因、そして気候変動への対策のために私たちができることとは一体何なのでしょうか。

気候変動の現状と気温


【世界の平均気温】

気候変動の一例として、現在最も注目を集めているものは地球温暖化による気温上昇でしょう。世界平均気温は1880年から2012年の間で約0.85℃上昇しており、もし私たちが今後一切の地球温暖化対策をしなかった場合には、21世紀末の世界平均気温は2.6〜4.8℃上昇すると予測されています。

【北極・南極の気温】

地球温暖化の影響により、北極域では明らかに海氷が減少している。南極では一時的に海氷が増加していますが、長期的には減少すると予測されています。また、海氷が減少すると、海面における太陽放射の吸収が増加し、地球温暖化の進行をさらに進めると考えられています。

【日本の気温】

低緯度地域よりも高緯度地域の方が気温上昇度は高く、日本も世界平均と比べて気温上昇の割合は高いです。事実として、日本における真夏日・猛暑日・熱帯夜の年間日数は1931年から2016年(統計期間)の間で増加傾向となっています。

【海水温の上昇】

海洋は大気に比べて熱容量が大きいため、大量の熱を蓄積しており、大気との熱のやりとりをして様々な時間・空間スケールで気候に影響を与えます。そして地球温暖化により気温が高くなったことでその熱の一部は海洋に吸収され、海水温の上昇につながっています。令和3年の年平均海面水温の平年差は+0.13℃にもなっています。

気候変動の現状と降水量


【世界の降水量】

気候変動の他の例として降水量の変化があります。降水量は気温と異なり、世界全体の年間降水量は変化が変化傾向はないです。しかし、地域によって年間降水量が増加する地域と減少する地域が存在します。

【各国の降雨量】

地球温暖化により気温と海水温が上昇し、海水の蒸発が促進されることで多くの水分を含んだ空気が大量の雨を降らし、大規模な洪水被害をもたらすことがあります。実際にパキスタンでは2ヶ月以上にわたって大雨が降り続き、国土の3分の1が水没するという深刻な被害が生じています。
また、逆に気候変動による少雨により干ばつが起こり、農作物の収穫に影響をもたらしたり、生態系に悪影響を及ぼしたりすることもあります。

【日本の降水量】

日本に関しては年間降水量にはばらつきがありますが、ゲリラ豪雨の回数や大雨の年間日数が増加傾向にあります。2021年の夏には全国で合計約63,000件ものゲリラ豪雨が発生しました。広範囲で大規模なゲリラ豪雨が発生しており、全国各地で道路冠水などの被害が生じました。

気候変動による影響

気候変動は農業や水産業、生態系、自然災害など、地球上の様々なところに様々な形で影響を及ぼしてます。

【農業や水産業への影響】

気候変動は農業、水産業に大きな影響を与えます。農業に関して言えば、気温の上昇による作物の品質の低下や栽培適地の変化があげられます。一例として、コメなどは出穂後に、高温が続くと白く濁った未熟な粒の割合が増加してしまうことがあります。一部の地域では収量の減少までもが見られます。水産業に関しては、海水温の変化により一部の魚種の分布地域が変化するため漁獲量が大きく減少してしまう地域が見られます。

【生態系への影響】

気候変動による気温上昇、降水量の変化などにより植物、昆虫などの生育環境にも影響を及ぼし、植生の崩壊が起きている地域が存在しています。もののけ姫の舞台にもなった、世界遺産の白神山地におけるブナ林も、将来の気候予測によるとブナ林の成長に適した地域が消滅すると考えられており、いずれブナ林が衰退してしまう恐れもあるのです。
陸上の動植物だけでなく、海の生態系も同様に影響を受ける恐れがあります。その一例がサンゴ礁の白化です。サンゴの白化は気候変動による海水温の上昇によって引き起こされ、この状態が長く続くと、多様な生物の共生を可能にする機能や防災機能を持つサンゴ礁の壊滅が起きてしまいます。

【自然災害への影響】

気候変動により大雨やゲリラ豪雨が増加すると、各地で洪水が引き起こされるようになります。また、これらは洪水だけでなく、山の斜面崩壊や土石流などの土砂災害も引き起こす恐れがあります。

気候変動の原因・解決策


【気候変動の原因】

では、このような現状を作り出してしまう気候変動の原因を見ていきましょう。気候変動の原因には自然的な原因と人為的な原因の二つがありますが、1800年代以降は主に人為的な原因が大きいとされています。人為的な原因としてあげられるものが、大量の化石燃料(石油・石炭・天然ガス)の消費や森林破壊などです。特に深刻な問題となっていることが化石燃料の大量消費であり、これが地球温暖化の原因となる二酸化炭素を大量に放出しているのです。

温室効果ガスの排出

温室効果ガスは二酸化炭素以外にも、メタン、一酸化二窒素、フロンガスなどがあります。私たちの多くが、二酸化炭素を化石燃料由来の電気・ガスを使用したりゴミを焼却したりする中で排出しています。
また、メタンは二酸化炭素についで多く排出されている温室効果ガスであり、家畜がゲップをした時や、天然ガスを採掘するときなどに発生します。メタンの地球温暖化の寄与は同じ量の二酸化炭素の28倍にもなります。

飛行機雲も温暖化原因

ジェット機は飛んでいる最中にジェット燃料の燃焼で、硫黄や窒素酸化物、すす、水蒸気などの粒子を放出します。これらの粒子が凝結することで飛行機雲は発生しますが、飛行機雲も温暖化の原因の一つとなります。ジェット機は大量の二酸化炭素を排出していますが、航空機による温暖化のおよそ3分の2は二酸化炭素の排出以外によって引き起こされていると言われています。

森林の炭素吸収量の減少

森林は陸上の炭素と大気との循環をする役割があります。森林はCO2を吸収して成長し、土壌に炭素として固定までしてくれます。この固定された炭素のことをグリーンカーボンと呼びます。森林伐採や森林火災などで森林面積が減少することは、大気のCO2濃度上昇の加速につながってしまいます。

海洋の炭素吸収量の減少

海洋の藻、サンゴなどの海洋生物にも大気のCO2を吸収して固定してくれる役割があります。この海洋生物により海洋環境に貯留された炭素のことをブルーカーボンと言います。ブルーカーボンは大気中の二酸化炭素を除去し、長期間貯留するという気候変動への対策として重要な役割を担っています。しかし、ブルーカーボン生態系は沿岸開発などにより破壊されることが多いのが現状です。ブルーカーボン生態系が破壊されれば、二酸化炭素の吸収源が減少することに加え、蓄えられていた二酸化炭素が放出されることになるため、地球温暖化をかえって進めることになってしまいます。

【気候変動の対策とアクション】

気候変動は地球環境全体で起きています。地球の住人が一体となって対策に乗り出さないといけない問題であり、国単位、企業単位、一人一人が気候変動への意識を一刻も早く持つ必要があります。では気候変動への対策として一体どのような対策、アクションがあるでしょうか。
まず最も大切なことは地球温暖化を促進する温室効果ガスを減らすことです。そのためにできることとして

・節電、節水、クールビズなどの省エネ対策
・ハイブリッド・電気自動車の導入による二酸化炭素排出量の削減
・火力発電から再生可能エネルギーを利用した発電への転換
・廃棄物の削減や再資源化
・森林・海洋保全

などがあります。しかしこれらは対策の一例であり、他にも対策として有用なアクションはいくつもあります。

まとめ

気候変動は私たちの生活を脅かす可能性のあるものであり、一刻も早く対策を打たねばならない問題となっています。世界全体でも気候変動に対する意識は高まっているため、私たちも日々の生活の中で気候変動対策に対する意識を持つことが大切です。

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